法定相続人とは?
養子や未成年などの場合もあわせて、相続の範囲や順位について解説します!
親族で誰かが亡くなると、いろいろな手続きが発生しますよね。その1つに、亡くなった方が生前保有していた財産をどうするか、という点があるのではないでしょうか。
法律に定められた財産相続のルールは、さまざまなケースがあるため複雑です。今回は、考えられるケースを交えながら、相続人の該当範囲や、相続順位、相続割合などについてご説明します。記事の最後に「よくあるご質問」もまとめていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
法定相続人とは?
法定相続人とは、民法で定められた「被相続人の財産を相続する権利を持つ人」を指します。つまり、亡くなった人の財産を相続することが、法律で定められている人のことです。
相続は、原則として遺言書の内容が優先されることが民法964条で定められています。ただし、遺言書が残されていない場合や、遺言書の形式が民法で規定されたものと異なり内容が無効になる場合は、民法で定められたルールに沿って財産が相続されます。
法定相続人の範囲と 相続の優先順位
法定相続人は、「配偶者(法律婚)」「直系卑属(子や孫、ひ孫など)」「直系尊属(父母や祖父母、曾祖父母など)」「兄弟姉妹(亡くなっている場合には甥姪)」が該当します。配偶者は常に相続人となり、配偶者の次に、直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の順で相続されます。
親族であっても、上記にあげた法定相続人に該当しない人は、遺言書の指示がない限り、財産が相続されることはありません。たとえば、離婚した元配偶者や、配偶者の親や兄弟姉妹、いとこ、叔父叔母などは、法定相続人には該当しません。
ただし、相続人が他におらず、「特別縁故者」として認められた場合には、以下に該当する人も財産の受け取りが認められる場合があります。
・被相続人と生計を同じくしていた人(事実上の養子や養親など)
・生前に、被相続人の看護や介護を献身的に行った人
・生前に、被相続人と特に親しく交流していた友人知人
・事実婚として認められる関係性の人
これらに該当する人は、家庭裁判所への申立などの手続きを踏み、要件を満たせば特別寄与料を受け取ることができるようになっています。
法定相続人でも、財産を受け取れないケースも
法定相続人に該当する人であっても、相続権を認められない場合もあります。たとえば、以下に当てはまる人は、配偶者や直系卑属であっても財産を受け取ることはできません。
・被相続人や、他の相続人を故意に死亡させた(または死亡させようとした)
・被相続人が殺害されたことを知りながら、告発しなかった
・遺言書の内容を故意に操作した
・被相続人の請求に基づき、家庭裁判所から相続権を剥奪された
・相続開始から3ヶ月以内に、家庭裁判所を通して相続権を放棄した
養子は、法定相続人になることができるの?
養子も、実子と等しく法定相続人になることができます。養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類がありますが、養子縁組の違いが養親からの相続権の有無に影響することはありません。
加えて、普通養子縁組で養子になった子どもは、養子先の親と実親の2組と親子関係が継続しているため、両方からの相続権を持っていることになります。一方で、特別養子縁組で養子となった子どもは、実親との親子関係が法律上消滅しているため、実親の相続人になることはできません。
しかし普通養子縁組の場合、被相続人の実子の有無によって、法定相続人として養子を数えることのできる人数が決まっています。実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人まで、養子を法定相続人として数えることができるようになっています。ただし、連れ子との養子縁組や、特別養子縁組の場合は、その養子も実子として取り扱われるため何人でも法定相続人の数に含めることができます。
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